生前贈与による土地・建物の名義変更の方法
生前贈与の土地・建物の名義変更は、法務局という役所に、申請書と必要書類を提出して行います。
手順の概要
①法務局に提出する必要書類を準備する
②法務局に提出する申請書を書類を作成する
③法務局に提出する付属書類を作成する
④申請書や必要書類などをホッチキスでとめて、法務局に提出する
これで、生前贈与による名義変更が完了します。
そして、土地や建物の権利証を発行してもらえます。
①必要書類
・贈与の対象となる不動産の権利証(登記識別情報)
・贈与者の印鑑登録証明書(発行から3ヶ月以内)
・受贈者の住民票
・登記原因証明情報(贈与契約書)
・固定資産評価証明書
・贈与の対象となる不動産の登記簿謄本(全部事項証明書)
まずは、上記の書類をすべて集めましょう。
②申請書の作り方
申請書は書式等は指定されていません。
申請書には、必要な情報が記載されていればよい。
ご自身で申請書を作成される方へ
ワープロで以下のサンプルフォーマットと同じものをA4サイズで作成して印刷。
「各項目の記入事項の解説」に従い、記入事項を手書きにて記入。
もしくは記入事項も入力したものを作成、印刷。
書類に押印し、製本を行う。
贈与申請書(所有権移転)の記入用ワードファイル(テンプレート)はこちら
贈与申請書(持ち分移転)の記入用ワードファイル(テンプレート)はこちら
住所変更申請書の記入用の記入用ワードファイル(テンプレート)はこちら
住居表示の実施による変更申請の記入用ワードファイル(テンプレート)はこちら
住所変更が証明できない上申書の記入用ワードファイル(テンプレート)はこちら
上記のワードファイル(テンプレート)は無料でダウンロードできますので、ご自由にお使いください。
《登記申請書 サンプル》
登 記 申 請 書
登記の目的 移転
原 因 平成 年 月 日贈与
権 利 者
義 務 者
添付書類
登 記 済 証 登記原因証明情報 代理権限証書
印鑑証明書 住所証明書
登記識別情報(登記済証)を提供することができない理由
□不通知 □失効 □失念 □その他( )
□登記識別情報の通知を希望しません。
平成 年 月 日申請 法務局 御中
義務者代理人
連絡先の電話番号 - -
課税価格 合計 金 000円
登録免許税 合計 金 00円
不動産の表示
不動産番号
所 在
地 番 番
地 目
地 積 ㎡
不動産番号
所 在 番地
家屋番号 番
種 類
構 造
床 面 積 1階 ㎡
2階 ㎡
《各項目の記入事項の解説》
◎登記の目的
・どのような登記申請を行うのかを表します。
・贈与者がその不動産に対し、どれだけ所有していたかで
記入方法が異なります。
・複数の不動産を贈与する場合
→「登記の目的」が同じなら、ひとつの申請書で名義書換えが可能。
→「登記の目的」が違うなら、別々に申請書を作り分けて下さい。
記入方法
→贈与対象の不動産が贈与者の単独所有の場合
『所有権移転』
→贈与対象の不動産を贈与者(山田一郎)が共同所有している場合
『山田一郎持分全部移転』
→不動産を単独所有している贈与者(山田一郎)が所有権の一部を贈与する場合
『山田一郎持分一部移転』
◎原因
・どのような理由で、いつ権利を移転するのか表します。
・当事者間で贈与契約書を作成した日を記入して下さい。
記入方法
→平成21年6月19日に贈与契約書を作成した場合
『平成21年6月19日贈与』
◎権利者・義務者
・権利者は「受贈者」を、義務者は「贈与者」を表します。
・住所と氏名を記入します。
・権利者の住所は住民票通りに、義務者の住所は印鑑登録証明書の
通りに記入して下さい。
・義務者の印鑑登録証明書は発行から3ヶ月以内のものであることが
必要です。
・登記の目的が「所有権移転」か「山田一郎持分全部移転」かで記入方法
が異なります。
記入方法
→「所有権移転」の場合
『権利者 ○○市○○町○丁目○番地○
山田 A子
義務者 ○○市○○町○丁目○番地○
山田 一郎 』
→「山田一郎持分全部移転」の場合(山田一郎の持分3分の1)
『権利者 ○○市○○町○丁目○番地○
持分3分の1 山田 A子
義務者 ○○市○○町○丁目○番地○
山田 一郎 』
→「山田一郎持分一部移転」の場合(4分の1を贈与)
『権利者 ○○市○○町○丁目○番地○
持分4分の1 山田 A子
義務者 ○○市○○町○丁目○番地○
山田 一郎 』
◎申請日
・登記申請書を提出する日を記入します。
ただし、ご自身で登記申請書を作成された方は、申請前に法務局の「相談コーナー」で、登記申請書のチェックを受けて下さい。
チェックを受けた後に申請日を記入して下さい。
◎法務局名
・登記申請は対象の不動産を管轄する法務局で行うこと。
・不動産の全部事項証明書を発行している法務局が申請先となります。
確信がない場合には、事前に法務局に問い合せ、その法務局が登記申請先となることをご確認することをお勧めします。
・法務局名は「支局」「出張所」まで記入して下さい。
記入方法
→申請先が東京法務局の場合
『東京法務局 本局 御中』
→申請先が東京法務局新宿出張所の場合
『東京法務局 新宿出張所 御中』
→申請先が大阪法務局堺支局の場合
『大阪法務局 堺支局 御中』
◎義務者代理人
・登記申請は、本来、権利者義務者が共同で行わなければなりません。
一方から他方への委任があることで、一方が登記申請書の提出や権利証の回収等を行うことができます。
・一般的には義務者から権利者に委任するケースが多いようです。
・全ての手続きを当事者双方で行う場合は、この記載は必要ありません。
その場合は、権利者義務者の氏名の右にそれぞれ押印してください。
(権利者は認印、義務者は実印です。)
記入方法
→義務者から権利者に委任する場合(押印は認印)
『義務者代理人 ○○市○○町○町目○番地○
山田 A子 印
連絡先の電話番号 ○○-○○-○○』
→権利者から義務者に委任する場合(押印は実印
『権利者代理人 ○○市○○町○町目○番地○
山田 一郎 印
連絡先の電話番号 ○○-○○-○○』
◎課税価格
・贈与の対象となる不動産の評価額を記入します。
・移転する不動産(の割合)に応じた評価額を記入します。
・ひとつの申請書で複数の不動産の名義書換えを行う場合は、
合計額を記入します。
・登記申請書へは算出された金額の下3桁を切り捨てた額を記入します。
記入方法
→移転する不動産の評価額合計が15,000,320円の場合
『課税価格 合計 金15,000,000円』
◎登録免許税
・不動産の名義書換えを行う際に必要な税金です。
・生前贈与の場合には「課税価格×0.02」で計算する。
・登記申請書へは算出された金額の下2桁を切り捨てた額を記入する。
・支払いは「収入印紙」を登記申請書の印紙台紙のページに貼り付ける。
記入方法
→所有権移転の場合で課税価格が15,000,000の場合
『登録免許税 合計 金300,000円』
→山田一郎持分全部移転の場合で、課税価格7,500,000の場合
『登録免許税 移転した持分の価格 合計 金150,000円』
◎不動産の表示
・贈与の対象となる不動産の情報を表示します。
・不動産の全部事項証明書のとおりに記入して下さい。
・不動産番号がない場合には、記入不要です。
不動産の全部事項証明書は、お住まい近くの法務局であれば、全国どこでも取得できます。
また、下記のHPよりインターネットで取得することもできます。
登記情報提供サービス http://www1.touki.or.jp/
記入方法
→不動産が「土地」の場合
『不動産番号
所 在
地 番 番
地 目
地 積 ㎡』
→不動産が「建物」の場合
『不動産番号
所 在 番地
家屋番号 番
種 類
構 造
床 面 積 1階 ㎡
2階 ㎡』
→不動産が「マンション」の場合
『一棟の建物の表示
所 在
建物の名称
専有部分の建物の表示
家屋番号
建物の名称
種 類
構 造
床面積 階部分 ・ ㎡
敷地権の表示
所在及び地番
地 目
地 積
敷地権の種類
敷地権の割合 分の 』
以上で、申請書が完成です。
この申請書は、法務局に記入用紙が備え付けてあるわけではありません。
A4サイズの白紙に、一から自分ですべて記入して作成します。
どのように記入するのかはすべてルールが決まっていますが、まったくの白紙に自分ですべて記入していくため、初めての方はちょっととまどいます。
下記の法務局のHPにて、贈与登記申請書のひな型が掲載されています。
http://www.moj.go.jp/MINJI/MINJI79/minji79.html
ワードファイルで掲載されていますので、ダウンロードして未記入部分にそのままパソコンで書き込めば、贈与登記申請書として使用できます。
申請書が完成したら、次は付属書類を作成します。
③法務局に提出する付属書類を作成する
作成する付属書類は以下の3つです。
・印紙台紙
・委任状
・登記原因証明情報
■印紙台紙
・A4サイズの白紙を1枚用意する。
・登記申請書の次ページに綴じ込み、登録免許税分の収入印紙を貼る。
■委任状
・登記手続きを当事者の一方から他方に任せるための書面。
・ワープロで以下のサンプルのようにA4サイズで作成し、印刷。
・「各項目の記入事項の解説」を参考に正しい箇所に署名押印し、完成。
上記のワードファイル(テンプレート)は無料でダウンロードできますので、ご自由にお使いください。
《委任状 サンプル》
委 任 状
○○市○○町○丁目○番地
山田 A子
私は、上記の者を代理人と定め、下記の権限を委任します。
1.下記の登記申請及び登記事項につき申請書その他必要書類
(登記原因証明情報ほか)の代理作成及び収集に関する一切の権限
2.下記の登記申請に係る登記識別情報(登記済証)の受領並びに登記
完了証の受領及び復代理人選任に関する一切の権限
3.下記の登記申請に関する添付書類の原本還付請求並びにその受領
に関する権限及び復代理人選任に関する一切の権限
4.登記申請の内容
平成21年6月19日付登記原因証明情報記載の通りの贈与による
○○○○移転登記申請
平成21年6月19日
住 所 ○○市○○町○丁目○番地
氏 名 山田 一郎 印
《各項目の記入事項の解説》
◎受任者の住所氏名
・「委任状」の文字の下に委任を受ける人の住所氏名を記入。
・住民票上の住所氏名と一致している必要がある。
◎登記申請の内容
・日付は贈与契約書作成日を記入。
・「○○○○移転登記申請」の部分は登記申請書の登記の目的欄と
一致している必要がある。
◎日付
・委任状作成日を記入。
・贈与契約日以降であればいつでもよい。
◎委任者の氏名住所
・文末に委任者の住所氏名を記入し、押印。
・押印は実印で行うこと。
■登記原因証明情報
・登記申請の原因となる事実があったことを証明する書面。
・登記申請書と同じ項目については、登記申請書と一致するように作成。
・ワープロで以下のサンプルのようにA4サイズで作成し、印刷。
・「各項目の記入事項の解説」を参考に正しい箇所に署名押印し、完成。
登記原因証明情報の記入用ワードファイル(テンプレート)はこちら
上記のワードファイル(テンプレート)は無料でダウンロードできますので、ご自由にお使いください。
《登記原因証明情報 サンプル》
登 記 原 因 証 明 情 報
1 登記申請情報の要項
登記の目的 ○○○移転
原 因 平成21年6月19日贈与
権 利 者 ○○市○○町○丁目○番地
山田 A子
義 務 者 ○○市○○町○丁目○番地
山田 一郎
2 不動産の表示
不動産番号
所 在
地 番 番
地 目
地 積 ㎡
不動産番号
所 在 番地
家屋番号 番
種 類
構 造
床 面 積 1階 ㎡
2階 ㎡
3 登記の原因となる事実又は法律行為
1.平成○○年○○月○○日、○○○○は○○○○に対して、
本件不動産を贈与し、○○○○は受領しました。
2.よって、本件不動産の所有権は、平成○○年○○月○○日、
○○○○から○○○○に移転しました。
平成○○年○○月○○日 上記のとおり相違ありません。
○○○○法務局 御中
権 利 者 ○○市○○町○丁目○番地
山田 A子 印
義 務 者 ○○市○○町○丁目○番地
山田 一郎 印
《各項目の記入事項の解説》
◎登記申請情報の要項
・登記申請書と一致している必要があります。
・記載項目は「登記の目的」「原因」「権利者・義務者」のみ。
◎不動産の表示
・登記申請書の不動産の表示欄と一致している必要あり。
◎登記の原因となる事実又は法律行為
・日付は登記申請書の「原因」の日付。
・贈与者、受贈者の氏名を文中に記入して下さい。
(贈与者、受贈者が逆にならないように注意)
◎作成日
・登記原因証明情報作成日を記入。
◎法務局名
・登記申請書に記載されている法務局名と一致している必要あり。
◎権利者・義務者の署名押印
・この部分は必ず手書きにて作成。
・権利者の押印は認印、義務者の押印は実印。
以上で付属書類の作成は完了です。
次にこれまでつくった書類をホッチキスで留めます。
④申請書や必要書類などをホッチキスでとめて、法務局に提出する
登記申請の際は、登記申請書やその他の書類を綴じ、製本した状態
で法務局に提出します。
綴じ込むのは以下の書類です。
1 登記申請書
2 印紙台紙
3 委任状(必要な場合のみ)
4 登記原因証明情報
5 贈与者の印鑑登録証明書
6 受贈者の住民票
7 不動産の固定資産評価証明書
以上の順に重ね、左側をホッチキスで3カ所留め、冊子状にする。
1から7の順番が重要。
1を一番上にして、2から7まで番号の若い書類を上にしてとじる。
書類が完成したら、法務局に書類を提出します。
申請先の法務局は、不動産の所在地にもっとも近い場所にある法務局です。
法務局の場所は、下記のHPで確認できます。
http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/static/kankatsu_index.html
法務局に書類を提出してから1~2週間後に、新しい権利証が発行されます。
この新しい権利証を受け取ったら、すべて完了です。
以上で、手続きは完了です。